こんにちは。
石川華代です。
先日、この本を読みました。
イギリスに暮らす日本人女性からみた、
元底辺校に通う息子の日常のお話です。
同じ著者の本を前にも読んだことがあったのですが、
今回のは、ちょっと衝撃でした。
私はイギリスに12年住みました。
イギリスは、はっきりとした階級社会です。
lower class, middle class, upper class…
生まれ、学校、仕事から、
日常の食料品を買うスーパーまで、
分かれています。
この本の著者家族は、
元公営住宅に住む。
公営住宅は、
生活保護を受けるような労働者階級が住んでいた住宅で、
今はそれが払い下げられて、
中級クラスの人も住んでいたりします。
やっぱり、荒れている家も多いし、
あまり、治安がよくないエリアに代わりない。
そのエリアでは、
人種差別も散々経験する日常。
そういうエリアに住み、
著者の息子は「元底辺校」に通う。
元底辺校は、
イギリス人がほとんど。
そこで、人種差別もあり、
食べることにも困る子どもたちがたくさんいる。
行方不明になる生徒、
親から見捨てられたこども、
DVや、
ドラッグ、
中高生の妊娠出産なども、
当たり前にあるような労働者階級の日常が、
学校の同級生にある。
イギリス在住時、
そういう状況については、
情報として知っていたけれど、
私が12年間暮らしてきた場所との違いに衝撃を改めて受ける。
私は12年間ずっと、
シュタイナー学校コミュニティにいた。
そこは、守られた、楽園のような場所だった
・・・としみじみ思う。
シュタイナー学校に関わる人たちは、
収入はともかく・・・
教育に関心があり、
オーガニックの食べ物を選び、
体に良いものをみにつけ、
社会情勢にも関心をもち、
保護者の教育水準は高め。
いろいろな国籍が混じり合う、
インターナショナルな環境で、
嫌な差別は感じたこともない。
学校で働く用務員さんが、
話してくれたことがある。
定年まで大手自動車ディーラーでメカニックとして働いていた彼は、
定年後、シュタイナー学校の用務員さんになった。
自動車ディーラーで、
ディーラーのマネージャーが、
自分たちメカニックに声を声をかけたことは一度もない。
「おはよう」や
「おつかれさま」の一言もない。
ずっと無視され続けてきた。
そのくらい、イギリスでは
階級差が激しい。
それなのに、
シュタイナー学校にきたら、
みんなが、
普通に話しかけてくれる。
みんなが気を使ってくれる。
こんなのは、
生まれてきてはじめてだと。
この本の著者の息子は、
労働者階級の影響がありありとある学校に行く。
そこで、
見事なまでに、
すくすくと、まっすぐ、
良い子に育っている。
よかった。
心からこの少年と家族にエールを送りたい。
でも・・・、
これが自分の子どものことだったら・・・?
・・・と思うと、
正直ぞっとするのです。
そして、
我が息子が、
少なくとも思春期を迎える頃までは、
差別とかのない、
みんな平等で幸せで守られた環境で、
のびのびと過ごせたことに、
心から感謝するのです。
世の中にある、
争い事や、戦争、飢餓や憎悪、差別などに直面する準備ができるまでは、
世界が美しいということを、
存分に味わって成長する。
それが、
その後、社会の不条理なことに出会った時、
正当な正義感や、道徳館、
ものごとを改善、改革していくための行動力になるから。
親が子どもにしてあげられることは、
たくさんありそうで、
意外に少ない。
私が今までの子育てでしてきたことは、
結局、
子どもがすくすくと育つ環境を整えてあげること、
・・・くらいかも。
子育てで失敗もたくさんしているけど、
子どもに用意してあげた、
住環境や学校は、良い判断だった。
・・・そこに迷いはない。
こどもをもつ親としての独り言でした。